格安SIMを選択する時に、より安定した回線品質で月々の支払いが安価という事は、優先順位が高いです。
ですが、速度を含む回線品質は、実際に使ってみるまで本当のところは解らない事も多いですよね。
MVNO(格安SIM)のサービスは、回線設備を持つ3大キャリアから、回線の一部を間借りすることで成り立っています。そのスペースに契約者を詰め込めば、会社は儲かりますが回線品質は落ちます。格安SIMを選ぶ時に、運営する会社の誠実さは大事な目安の一つです。
QTモバイルは、その色々な背景を見れば、とても誠実な会社です。回線速度を軸に、その中身を見ていきます。
この記事の目次
QTモバイルの速度の大前提
QTモバイルは、九州電力グループにある株式会社QTnetが運営するMVNO(格安SIM)サービスです。
電力会社は大資本であり、電柱などの設備を保有しているので通信ネットワーク事業に乗り出すことが多く、その延長線上にMVNOのサービスがあるといえます。
QTモバイルは、docomo回線・au回線・SoftBank回線の3大キャリア全てを網羅するトリプルキャリアの回線対応をいち早く実現しています。
ただ、インターネット回線事業と携帯電話事業ではノウハウも違い、自社で3大キャリアと交渉し、回線を確保した上で接続を確保する事はハードルが高いです。このため、格安スマホには、裏方の会社が入ってノウハウを含めて卸売りする形態もあります。この裏方にあたる会社をMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)と呼びます。
回線により別々の3社がMVNEとしてQTモバイルを支えています。
・docomo回線 - IIJ
・au回線 - オプテージ
・SoftBank回線 - ソニーネットワーク
docomo回線を担当する株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、老舗の通信会社であり、MVNOとしてIIJmioを展開しています。
IIJmioについては、こちらの記事がおすすめです。
au回線を担当する株式会社オプテージは、関西電力の子会社で2019年3月まで株式会社ケイ・オプティコムという社名でした。MVNOとしてmineo(マイネオ)を展開しています。
mineoについては、こちらの記事がおすすめです。
SoftBank回線を担当するソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、文字通りソニーの子会社です。MVNOとしてnuroモバイルを展開しています。
nuroモバイルについては、こちらの記事がおすすめです。
大手キャリアより速度は遅い
インターネットの通信速度は「bps」という単位で表されます。値が大きいほど高速です。「bps」とは「Bit per second」の略で、1秒間に何bit(ビット)のデータを転送出来るかを表したものです。
単位としては
「1,000bps」=「1Kbps(キロビーピーエス)」
「1,000Kbps」=「1Mbps(メガビーピーエス)」
ということになります。
必要なスピード
QTモバイルを含めて、キャリアが発表する最大通信速度は、理論上の数値であって現実ではありません。使う端末の性能や、電波の受信状態・距離など様々な影響を受けます。
QTモバイルの理論上最大通信速度
docomo回線 受信最大375 Mbps / 送信最大50 Mbps
au回線 受信最大225 Mbps / 送信最大25 Mbps
SoftBank回線 受信最大612 Mbps / 送信最大37.3 Mbps
一般的にスマートフォンを使う場合に、ストレス無くサクサク動くと言われる快適なスピードは5Mbps~30Mbpsと言われています。
数値の幅が結構あるのは、使う用途で違ってくるからです。
・メールやLINE 快適な速度は128kbps~1Mbps
・ウェブ閲覧 快適な速度は1Mbps~10Mbps(テキスト中心か?写真中心か?)
・動画閲覧 快適な速度は5Mbps~20Mbps(解像度による)
速度の感じ方は個人差がありますので、目安として参考にしたい数字です。
混み合う時間は遅くなる
ネット回線を道路のようなものと考えると解りやすいです。沢山の車が同時に路上に出れば、当然渋滞して速度は出せません。
これは自社回線を持つキャリア(MNO)でも起こることですが、道路の一部を間借りしている格安SIM(MVNO)では、より一層顕著に出ます。
通信量を超えると低速になる
QTモバイルでは、契約した容量を使い切ると、上り下り最大200Kbpsに制限されます。(3回線共通)
それ以外にある速度制限は、回線により違いがあります。
・docomo回線(Dタイプ)
月間契約通信容量の残が無い状態で、直近3日間に366MBを超過した時に、200Kbpsからさらに制限される場合があり。
・au回線(Aタイプ)
直近3日間で6GBを超えた時に、制限する場合があり。
・SoftBank回線(Sタイプ)
連続する3日間(計測時間 00:00:00~23:59:59)で規定値を超えた時に、制限する場合あり。
Sタイプでは、制限のかかる明快な数字は出ていません。
通信速度の速い/遅いってなに?おさらいポイント
通信速度が速い・遅いの数値的なことは前述で説明したとおりです。決められた時間内に、どれだけのデータ量をやりとり出来るか?ということです。
通信速度には、上り速度と下り速度があります。
上り速度とは
アップロードがこれです。写真をInstagramに上げたり、メールやLINEを送ったりする場合の快適さも「上りスピード」が関わってきます。使う頻度としては、下りよりも遙かに少ないです。
下り速度とは
ネット回線のスピードで重要なのは、下り速度です。
ネットの閲覧・アプリのダウンロード・動画やストリーミング再生も下りのスピードが関わってきます。
使う頻度も圧倒的に下りが多いです。
QTモバイルを実際に使って調べた速度結果!
QTモバイル(docomo回線)を例に、実際の回線スピードを見てみましょう。
測定日:2020/06/07-2020/07/16
測定回線:QTモバイル docomo回線
測定サイト:みんなのネット回線速度
朝(8:00〜11:00)の速度
(引用:みんなのネット回線速度サイト 2020/08/02現在)
沢山の人が一斉に使い出す、朝の通勤時間帯はMVNOにとって、速度が低下する時間帯です。
上記のデータは日曜日なので、平日とは違う可能性がありますが、直近3ヶ月の時間帯別平均速度でも朝の下りは55.24Mbpsが出ています。
昼(12:00〜15:00)の速度
(引用:みんなのネット回線速度サイト 2020/08/02現在)
回線の利用者が多いと言われるお昼の時間帯です。通勤時間帯よりも、お昼休みの時間は集約されていてMVNOにとっては鬼門の時間帯です。直近3ヶ月の時間帯別平均速度でも、昼の下りは1.98Mbps出ています。
MVNOでは同時間帯で1Mbpsを大きく下回る事も珍しくありませんから、優秀な数値です。このスピードなら、通常のウェブ閲覧ができそうです。
夕方(16:00〜19:00)の速度
(引用:みんなのネット回線速度サイト 2020/08/02現在)
夕方のスピードも優秀です。上記は15.74Mbps出ていますが、直近3ヶ月の時間帯別平均速度でも30.89Mbps出ています。
夜(20:00〜24:00)の速度
(引用:みんなのネット回線速度サイト 2020/08/02現在)
夜のスピードです。上記では30.4Mbps出ていますが、深夜に近い24時前ということがあると思います。直近3ヶ月の時間帯別平均速度では6.58Mbpsになっています。
測定結果のまとめ
お昼にも1Mbps以上の速度が出ていますし、一日を通して実用的なスピードが出ています。QTモバイルのdocomo回線に関しては、自信を持ってオススメ出来ます。
QTモバイルの通信速度の口コミ
通信スピードは、環境や時間帯・場所によって大きな差が出る事があります。具体的なデータだけでなく、口コミも見ていきましょう。
全体の口コミ
・どこでも問題なく繋がる、ほとんどUQモバイルが早いが時々QTが早いときがある10対1ぐらいかな?可もなく不可もなし普通。安心して人に勧められる。( Dタイプ 投稿日:2020年4月16日 価格comより)
・とにかく遅いです。UQmobileも使用していますが、UQの節約モードより遅いことがたびたびです。( Dタイプ 投稿日:2020年2月29日 価格comより)
・UQも使ってみましたが、昼休み等の普通の人が使う時間の速度低下は顕著です。とても使い物にならないので、最低利用期間後に解約予定です。( Aタイプ 投稿日:2019年11月23日 価格comより)
・インターネットの繋がりや速度には今の速度で十分と思っています。
携帯やルータが5年ほど前とはかなり良くなったと思います。 Dタイプ 投稿日:2019年11月15日 価格comより)・私の場合はQTモバイルと0SIMをDSDSで使っていました。月初は0SIMで450MBまで来たらQTモバイルに切り替えていました。0SIMに比べQTモバイルは時間と場所に依りますが、かなり安定して利用できました。ただし、その前に使っていたソフトバンクに比べると繋がりの悪さや画面表示の遅さなどで気になるところもあります。ただし、月額を考慮するなら十分お得と思います。( Dタイプ 投稿日:2019年6月22日 価格comより)
・やはり朝夕の通勤時間帯、昼休みの時間帯は遅く1Mを切ることもある。動画はもちろん、通常のweb閲覧でも読み込みに時間がかかることが多い。それ以外の時間帯は特に問題なく動画も見られる。高速通信ON/OFFスイッチがあるので容量が気になるがアイはそちらもメリットになる。( Dタイプ 投稿日:2019年3月1日 価格comより)
・昼と夕方はストリーミング再生が難しい。ワイモバイルと比べたら、明らかに速度は低下しているが、大きな支障はなく使えている。良かった点は、田舎なのでSB回線より、ドコモ回線が繋がりやすいので、速度はあまり期待できないが、通信できる範囲は広がった。また室内でも電波拾うのでありがたい。( Dタイプ 投稿日:2018年12月6日 価格comより)
QTモバイルの速度が遅いと感じたときの5つの対策
QTモバイルはMVNO(格安SIM)なので、3大キャリアと比較して多くの人が同時に使う時間帯に速度が低下する事があるのは、ある程度は仕方がありません。
しかし、上記の最新速度データを見ても明らかなように、通常のMVNOでは落ちるのが当たり前である、お昼休みの時間帯も含めて一日を通して実用的なスピードを維持しています。
遅い時には、以下を確認してみることをお勧めいたします。
再起動してみる
電子機器全般に言えますが、ずっと起動状態継続だと不具合が生じることがあります。
再起動することで電波を掴み直して改善することがあります。
場所を移動する・時間帯を変える
電波が届きにくい場所では速度が低下します。可能な範囲で場所を移動する・接続時間帯を変えるのは効果的です。
Wi-Fiとセットで使用する
Wi-Fiが使える場所では、Wi-Fiを使った方が速い事も多いです。公衆スポットなどでは遅い事も多々ありますが・・・。
使用量を確認する
QTnet会員専用ページで、データの使用量が確認出来ます。
契約容量を超過していませんか?容量を超過後は、速度に制限がかかります。同ページから、容量の追加やプラン変更も可能です。
回線によっては、直近3日間の使用容量によって制限が掛かる場合があります。(タイプA・タイプS)
QTモバイルの速度でよくある質問
QTモバイルで速度に関するFAQをまとめてみました。
質問1 データ通信量を使い切り、データ通信量を追加購入すると、速度は回復しますか?
データ通信量を使い切り、規制がかかっている最中にデータ通信量を追加すると、規制は解除されます。
追加分のデータ通信量を使い切ると、再度規制がかかります。
データ通信量の使い切り以外の場合でも、以下通信速度制御の条件に該当していた場合は、通信規制状態となります。
データ通信量を追加されない場合、規制は月末日までとなり翌月1日に解除されます。○通信速度制御の条件
Dタイプをご利用のお客さま
SIMカード毎にデータ通信量がない、または高速通信をOFF(最大200kbpsでの通信時)にしている状態で、3日あたりの通信量が以下の規定値を超えた場合、当該SIMカードを使った通信の速度を制限する場合があります。
3日あたりの通信量(最大200kbpsの通信時):366MB(300万パケット相当)
Aタイプをご利用のお客さま
直近3日あたりの通信量が6GBを超えた場合に、通信速度を制限する場合があります。
Sタイプをご利用のお客さま
高速通信をONにしている状態で連続する3日間(計測時間 00:00:00~23:59:59)にプラン毎に規定された通信量を超過した場合、通信の速度を制限する場合があります。
質問2 データ通信量を使い切ったらどうなりますか?
月額プランのデータ通信量をすべて使い切った時点で、当月末まで通信速度が最大200kbpsに制限されます。
- データ通信量を追加購入すると速度が回復します。
購入について詳しくは「データ通信量を追加する方法を教えてください」をご覧ください。- データ通信量を追加購入せずに、低速(200kbps)のままでもご利用いただけます。
- データ通信量が少なくなった時のお知らせ機能などはありません。
- データ通信量の確認方法については「当月のデータ通信量の確認方法を教えてください。」をご覧ください。
質問3 テザリングはできますか?
テザリング対応の端末をご利用の場合、お申込み不要、月額料金無料でご利用いただけます。
テザリングができる端末については「動作確認済の端末」をご覧ください。
- 接続可能台数は、ご利用中の通信端末仕様により異なります。
ご利用中の端末の取扱説明書をご確認ください。- テザリングで接続されている端末が、基本データ容量を上回るご利用にいたる場合は、通信速度制限の対象となります。
テザリングについて詳しくは「格安スマホ・格安SIMでもテザリングはできる?」をご覧ください。
質問 4 毎月のデータ通信量はいつ更新されますか?
データ通信量は、毎月1日の午前0時に発行されます。
処理の都合で発行されるタイミングが遅れる場合があります。
データ通信量超過で速度が制限されている場合は、発行完了後自動的に高速通信状態に移行します。
まとめ
商いの基本の一つに、「支払先は集約せよ」というのがあります。
回線を請け負っているMVNEに対する支払いは、かなりの割合があると思われますが、QTモバイルはこれを集約せずに、回線別に3社別々の契約をしています。
特に取引しているMVNEの中で、同じ電力系の株式会社オプテージは、3回線全部を取り扱っているのに、一番得意なau回線だけにしているところにも、QTモバイルの誠実さが現れています。
安定した回線速度の出ているQTモバイルは、トリプルキャリアに対応しているため、大手キャリアを使っている方にもオススメします。