FREETELは、独自企画の個性ある端末と業界最速・業界最安を標榜し、佐々木希さん・高田純次さんによるCMで、一時はトップクラスの契約者数を持っていました。
業績悪化と共に回線品質も悪化したことで契約者離れを起こし、現在はMVNO事業を楽天モバイルに事業譲渡しています。新規契約受け付けは停止していますが、楽天モバイルによってサービスは継続しています。
今の状況における、FREETELのプラン契約の継続をするメリット・デメリットをシビアに徹底検証します。(文中の価格は特に表記の無い限り税抜価格です)
この記事の目次
FREETELとはどんな格安SIM会社?
(引用:FREETEL公式サイト 2020/08/18現在)
現在のFREETELブランドは、株式会社マヤシステムによって運営されています。MVNOは楽天モバイルに移行したため、MVNO事業は原則行っていません。楽天モバイルでは旧FREETELとして存続していますが、新規契約受け付けはしていません。
MVNOへの参入
FREETELブランドは元々日本のベンチャー企業、プラスワン・マーケティングが運営していました。プラスワン・マーケティングは、オリジナル企画の安価で高性能な日本発スマートフォンを製造販売していたことに加えて、2014年11月にMVNOに参入しました。
「フリモバ」という名前で、U-mobileのノウハウをMVNE(MVNEとは、大手キャリアから回線の卸受けをノウハウ含めて提供する企業です。)として利用する格安SIMでした。
苦難からの脱却
性能の割に価格が安い端末と、月額料金業界最安を標榜し華々しくデビューしましたが、実際に提供されたサービスの通信回線品質は不安定で速度も遅く、月額料金最安も別の資本力のある会社に奪われます。
他所のノウハウに頼っていては駄目だと考えたプラスワン・マーケティングは、早々に「フリモバ」には見切りを付けて、自社でNTTとのレイヤー2接続・自社でMVNE機能を持つことを目指しました。
レイヤー2接続
キャリアとのレイヤー2接続は、よりレベルの高い形態で、顧客通信量をリアルタイムに把握することが出来て、通信速度を制御できる特性があります。これには資本力と技術力が必要であり、実現することは容易ではありません。
しかし、プラスワン・マーケティングは数々の障壁を乗り越えて、NTTとのレイヤー2接続を実現して、MVNEを使わない自社接続のMVNO、「FREETEL SIM」のサービスを、早くも2015年7月に開始します。
評判の悪かった「フリモバ」のイメージを一掃すべく考え抜いた安い価格体系と、業界最速を標榜して派手なCMを展開しました。
MVNOの宿命
MVNOは自社回線設備を持たずに、3大キャリアの持つ回線の一部を借りて、余分な経費を掛けないことで、大手よりも格安の料金で提供するサービスです。
ユーザー数に対して借りる回線を太くすれば、快適な通信環境を提供できますが利潤は出ません。逆にユーザー数に対して借りる回線を細くすれば、商売としては利潤が出ますが、劣悪な通信環境ではユーザーが定着せず、新規顧客も望めません。
基本にある価格設定を含めた、そのさじ加減は、MVNOサービスを提供する企業の理念や懐具合が顕著に反映されます。
評判
サービス開始後の評判は、「フリモバ」の悪しき前例を吹き飛ばすモノでした。実際に通信速度も当時の格安SIMの中ではトップクラスで、月に1GBまでのデータ消費で済むライトユーザーにとっては、文字通り最安値でした。
債務超過と事業譲渡
スタート当初は、理念を大切にして通信速度品質を保ち、自社企画のスマホと組み合わせる戦略は素晴らしかったのですが、端末の不具合が頻発しMVNOは安いプランに特化したことで、利益は思ったように出ません。
収益改善が急務となった2016年後半頃には、利益の出ないSIM販売に消極的になり、端末販売を軸とした実質3年縛りの「スマートコミコミ+」に力を入れるようになりました。同時期に明らかに通信速度は低下しています。
「業界最速」の広告内容は優良誤認表示であると、国から行政指導が入りました。
力を入れていたスマートコミコミ+も、計算すると実際の端末を単独で購入する場合と比較すれば支払額が軽く2倍から3倍以上になる事が悪い意味で話題になり、収益がさらに悪化しました。
その結果、一時的には契約者数業界上位につけたMVNO事業を、2017年11月に楽天モバイルに売却しました。譲渡時の契約者数は40万人と言われています。
民事再生法の適用
楽天に事業譲渡したMVNO事業の売上高は、43億2900万円あったにも関わらず、負債が30億9000万円あったため、譲渡価格は5億2000万円でした。
端末事業のみに注力する事で立て直しを図りますが、端末事業譲渡の僅か1ヶ月程度で2017年12月に民事再生法の適用を申請して、事実上破綻します。
2018年1月に端末事業は(株)マヤシステムへと譲渡され、FREETELブランドはマヤシステムのブランドの一つとして存続しています。
FREETELと大手キャリアを比較!FREETELのデメリット
楽天モバイル内では、旧FREETEL SIMという扱いで、プラン名称等の変更はありましたが、中身は変わっていません。楽天モバイルは、FREETELを含めMVNOサービスの新規契約を、既に受け付けていません。
①速度が遅い
FREETELはサービス開始当初は、速度に拘っていましたが、資金繰りが厳しくなって以降は速度が明らかに低下しています。
楽天モバイルに事業譲渡された後も、楽天モバイルの運用するMVNOのdocomo回線に組み入れられる事は現状無く、従来のシステムのまま運用されています。今後の大きな改善も望めません。
大手キャリアとは比較するまでも無く、格安SIMの中でもFREETELは遅いです。
②いつまで存続するかわからない
FREETELの新規受付は終了しています。
楽天モバイルのMVNOは、MNOのサービス開始と共に2020年4月に新規受付を終了しています。
楽天モバイルのFAQでは、FREETEL SIMの継続や終了には触れていませんが、楽天モバイルのMVNOに関しては明記しています。
Q:楽天モバイル(ドコモ回線/au回線)のサービスはいつまで継続しますか?
A:現在日程は決まっておりません。
サービス停止につきましては適切な猶予をもって行いますので、決定次第告知を行う予定です。
(引用:楽天モバイル公式サイト 2020/08/17現在)
日程は明示していませんが、終了する前提です。
FREETELも楽天のMVNOと同様に、いずれ終了することは明らかです。
今すぐ終了という事ではありませんが、それほど遠くない将来に乗り換えの検討をオススメします。
大手キャリアは、世界でも有数の収益企業です。
③店舗が無く、別枠扱いになっている
経費を掛けないで安価に通信環境を提供するのが格安SIMの基本ですから、店舗が無い事は別に珍しいことではありません。
FREETELは現在楽天モバイルがサービスを提供していますが、楽天モバイル店舗では扱い不可です。
楽天モバイルが運営するMNOへの乗り換えは、MNP(番号を持って乗り換え)が必要です。その場合も楽天モバイルからでなく、FREETELサイトのマイページからの申請を経て、楽天モバイルUN-LIMITにMNP予約番号を持って契約手続きをすることになります。
大手キャリアのフルサービスからは、一番遠いところにあります。
価格比較してわかったFREETELのデメリット
FREETELのMVNOサービスが終了になるまで、使い続けることは本当に賢明しょうか?価格について比較してみます。
以下はFREETELのプランです。
- 定額プラン
種類 | 1GB | 3GB | 5GB | 8GB | 10GB | 15GB | 20GB | 30GB | 40GB | 50GB |
データ専用 | 499円 | 900円 | 1,520円 | 2,140円 | 2,470円 | 3,680円 | 4,870円 | 6,980円 | 9,400円 | 11,800円 |
データ専用+SMS | 639円 | 1,040円 | 1,660円 | 2,280円 | 2,610円 | 3,820円 | 5,010円 | 7,120円 | 9,540円 | 11,940円 |
通話+SMS+データ通信 | 1,199円 | 1,600円 | 2,220円 | 2,840円 | 3,170円 | 4,380円 | 5,570円 | 7,680円 | 10,100円 | 12,500円 |
- 使った分だけ安心プラン最大20GB
種類 | 100MBまで | 1GBまで | 3GBまで | 5GBまで | 8GBまで | 10GBまで | 15GBまで | 20GBまで |
データ専用 | 299円 | 499円 | 900円 | 1,520円 | 2,140円 | 2,470円 | 3,680円 | 4,870円 |
データ専用+SMS | 439円 | 639円 | 1,040円 | 1,660円 | 2,280円 | 2,610円 | 3,820円 | 5,010円 |
通話+SMS+データ通信 | 999円 | 1,199円 | 1,600円 | 2,220円 | 2,840円 | 3,170円 | 4,380円 | 5,570円 |
これらの価格を、他の格安SIMと比較してみます。
①定額プランについて
データ専用プラン
データ専用プランで見た場合、FREETELの1GBで499円/月は安いです。しかし、イオンモバイルのデータ1GBプランは480円/月です。
筆者も一時使っていましたが、価格的に安いだけでなく、イオンモバイルのデータプランは、音声プランとは別のアクセスポイントで、回線速度がとても早くオススメです。docomo回線を使っているので、APN設定をするだけで、今使っている端末をそのまま使うことが出来ます。
(引用:イオンモバイル公式サイト 2020/08/18現在)
音声プラン
音声プランで見た場合、FREETELの10GBプランは3,170円/月です。この金額には通話料は入っていません。
楽天モバイルUN-LIMITなら、1年間無料キャンペーン終了後でも通話料込みで2,980円/月です。
FREETELで50GBの契約なら12,500円/月ですが、楽天モバイルUN-LIMITで自社回線利用なら50GB使っても2,980円です。
回線速度もFREETELと比較して、ずっと高速です。
②使った分だけ安心プランについて
データ専用プラン
データ専用プランで見た場合、FREETELの100MBまでのプランは299円です。月々299円でSIMが維持できて、使った時には使った分だけ支払うというメリットを感じて、使い続けてきた方も多いと思います。
同様に、使った分だけというプランのb-mobileと料金を比較してみます。まずデータ専用プランで比較してみます。
種類 | 100MBまで | 1GBまで | 3GBまで | 5GBまで | 6GBまで | 8GBまで | 10GBまで | 15GBまで | 20GBまで |
FREETEL データ専用 |
299円 | 499円 | 900円 | 1,520円 | - | 2,140円 | 2,470円 | 3,680円 | 4,870円 |
b-mobile データ専用 |
190円 | 480円 | 850円 | - | 1,450円 | - | 2,190円 | 3,280円 | - |
どの容量でもb-mobileの圧勝です。
音声プラン
同様に、音声プランでも比較してみましょう。
種類 | 100MBまで | 1GBまで | 3GBまで | 5GBまで | 8GBまで | 10GBまで | 15GBまで | 20GBまで |
FREETEL 通話+SMS+データ通信 |
999円 | 1,199円 | 1,600円 | 2,220円 | 2,840円 | 3,170円 | 4,380円 | 5,570円 |
b-mobile 通話+SMS+データ通信 |
- | 990円 | 1,390円 | 1,790円 | 2,390円 | 2,790円 | 3,790円 | 4,790円 |
こちらも、b-mobileの圧勝です。一番少ない容量はb-mobileでは1GBまでですが、FREETELの100MBまでよりも安価です。
b-mobileでは1GBごとに200円が加算されるシステムですので、さらに合理的です。たとえば2GBまでの使用量の1.9GBを使った時には、FREETELでは3GBまでの括りに入って1,600円ですが、b-mobileだと990円+200円の1,190円になります。
b-mobileのdocomo回線プランなら、今使っているスマートフォンがAPNの設定を変えるだけで、そのまま使えます。
(引用:b-mobile公式サイト 2020/08/18現在)
価格を比較してみて
大手キャリアと比較すれば、安く合理的なプランのFREETELです。でも名称変更以外に目立った動きが無い状態が続けば、競争力が無くなってくるのは、上記の比較を見て頂ければ一目瞭然です。
上記にある通信会社は、FREETELと比較して価格的にメリットが有るだけで無く、通信品質も上質です。
悪いことだけじゃない!FREETELのメリット
FREETELのメリットを探してみます。
①解約手数料が無い
FREETELの解約にあたって、「使っただけ安心プラン」・「定額プラン」では利用期間にかかわらず、解約手数料はかかりません。
②MNP費用が事実上安い
MNP転出時には、利用期間に応じた手数料がかかるということが現状明記されていることです。具体的には以下の通りです。
契約当月の MNP 転出 15,000 円
契約後 2 ヶ月目の MNP 転出 14,000 円
契約後 3 ヶ月目の MNP 転出 13,000 円
契約後 4 ヶ月目の MNP 転出 12,000 円
契約後 5 ヶ月目の MNP 転出 11,000 円
契約後 6 ヶ月目の MNP 転出 10,000 円
契約後 7 ヶ月目の MNP 転出 9,000 円
契約後 8 ヶ月目の MNP 転出 8,000 円
契約後 9 ヶ月目の MNP 転出 7,000 円
契約後 10 ヶ月目の MNP 転出 6,000 円
契約後 11 ヶ月目の MNP 転出 5,000 円
契約後 12 ヶ月目の MNP 転出 4,000 円
契約後 13 ヶ月目以降の MNP 転出 2,000 円
これだけならデメリットに見えますが、FREETELは2017年にMVNO事業を楽天モバイルへ売却していて、楽天モバイルに統合されたわけではありません。
楽天モバイル内で旧FREETEL SIMとして扱われてきましたから、既存ユーザーの方で契約後13ヶ月を経過していない方は事実上皆無であり、MNP転出料は13ヶ月目以降の実質2,000円と考えられます。
多くの格安SIMのMNP転出手数料は3,000円くらいですから、FREETELの現状2,000円は、相場よりも安くなっています。
また、楽天モバイルUN-LIMITへの乗り換え(MNP)については、MNP転出料が無料になります。
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現在FREETEL契約者は、支払先が楽天モバイルになっています。それにも関わらず、MNP(番号を持って携帯会社を変わる事)の手続きをしなくては、楽天モバイルに乗り換える事が出来ません。
しかし、優遇策として楽天モバイルUN-LIMITに乗り換える場合は、MNP手数料が無料になっています。
お得なキャンペーンをやっている間に乗り換えがお得です!
楽天モバイル 月額料金1年間無料キャンペーン(先着300万人まで)
月額プラン料金2,980円で、高速データ通信が使い放題(パートナー回線は5GB/月まで 超過しても1Mbpsで使い放題)・国内通話かけ放題(Rakuten Linkアプリ使用)・海外指定66の国と地域で2GB/月まで無料など、最後発のMNOらしい、これでもか!状態は文句なく安いです。しかも月額料金が先着300万人まで1年間無料キャンペーンをやっています。
現在FREETELで使っている端末は、SIMフリーかdocomo販売機種だと思いますが、楽天モバイルでは基本的に使うことが出来ません。
新しい端末を同時購入する場合、最大20,000円分のポイント還元をするキャンペーンもやっています。例えば、売れ筋のOPPO A5 2020は一括払い20,019円で販売中ですが、20,000円分のポイント還元対象になっているので、実質19円です。
また、初期費用分もポイント還元するキャンペーンも展開しています。
楽天モバイル以外のキャンペーンも見ていきましょう。
イオンモバイル 家計節約キャンペーン
(引用:イオンモバイル公式サイト 2020/08/18現在)
期間は2020年8月末までです。
FREETELを現在お使いの方で、イオンモバイルをオススメするのはデータ通信の方ですから、MNPで3,000円分のWAONポイントは対象外ですが、人気の端末が14,000円OFFは魅力があります。
exciteモバイル 8月も!お得にスタートキャンペーン
(引用:exciteモバイル公式サイト 2020/08/18現在)
期間は2020年8月末までです。
exciteモバイルはdocomo回線を使っているMVNOなので、現在使用している端末を、そのまま使うことが出来ます。
音声プランもデータ専用プランも、期間中は初期登録手数料(3,000円)が無料になります。
さらに、音声プランの契約で以下のデジタルギフト券がゲットできます。
【先着100名】音声通話SIMのご契約でデジタルギフト券をプレゼント
・でんわパックプラン:5,000円
・最適料金プラン/定額プラン:3,000円
※1契約につき1枚を進呈
【まとめ】FREETELユーザーは乗り換えがおすすめ!
現在FREETELのサービスを提供している楽天モバイルは、自社で展開していたMVNOサービスの新規受付を終了し、2020年4月よりスタートした日本で4番目のキャリアMNO事業に全力を傾倒して、大型キャンペーンを実施しています。前述のように、MVNO事業の終了は既定路線になっています。
今使っている電話番号は、FREETELサイトのマイページからMNP予約番号を収得することで、今の電話番号をそのままで簡単に他社に乗り換える事が出来ます。
楽天モバイルUN-LIMITに乗り換える場合は、MNP手数料が無料になります。
FREETELユーザーになった方は、元々月々の通信費を減らす目的だったと思います。確かに以前はメリットが有りました。
しかし現状を検証する限り、音声通話プランの方もデータ専用プランの方も、よりお得な乗り換えのご検討をオススメいたします。